浪速今昔百景(九)太平寺「十三まいり」
摂州 護国山 大阪十三仏十三番札所。北山不動。
地下鉄谷町線谷九駅から八分、都心の谷町筋の通利に面し、赤いのぼりの旗が有って大きく「十三まいり」と書いてあって「十三仏まいり」とは江戸の「七五三」に対して大坂、京都で盛んに行なわれた行事で、十三歳になった男女が「虚空蔵菩薩」の縁日三月十三日、四月十三日にお参りすると福徳と知恵を授かるという。
「大阪歳時記」には(十三日に因み十三歳になる子供が夕陽ガ丘の「太平寺」と言う曹洞宗のお寺に智慧を授けてもらうためにお参りをしたものらしい。
こんな会話がつい最近まで浪速に町商人の日常に有った風景である。その願いの本尊は本堂に虚空蔵菩薩が祀られている。
本来この世の現世を、地上を受け持つ虚空蔵菩薩、地下の世界を地蔵菩薩が人々の苦悩を救う役割分担として受け持った仏様であるが、京都も「十三まいり」は盛んでかの蕪村も娘を嵯峨の法輪寺に虚空蔵菩薩に「十三まいり」をしている句がある。この寺の創建はもともと四天王寺の寺域に有って中には堂塔を外されて真言宗の龍翔寺になり、加賀の曹洞宗の超山和尚が幕府に願い出て再建したものである。元禄の頃皇室、大名の加護で栄え北側の北山不動が大いに参詣で栄えた。境内には「針塚」「筆塚」「茶筅塚」があって、北山不動が往時を偲ばせている。
0 件のコメント:
コメントを投稿