大和の国一ノ宮
”大神神社“
大和国には式内社は二百八十六社、名神大社が百二十八社諸国一の神社を誇る大和の国の一ノ宮が“大神神社”を一ノ宮として知る人は少ない。
三輪さんと言えば「三輪素麺」が有名、大和と隣接する河内地方でも一般的には“三輪の明神さん”で山が神体でしかも“己さん”白蛇で好物の卵を供え祈願、厄除けと、ご利益を庶民の願いを聞いてもらえる。霊験あらたかで、年末から年始の初詣で特に、御神火祭が有名である。
神聖な三輪山は禁足、しかし古代より受け継がれた宮司による鑚(きり)出した神火(忌火)を松明に移し山麓の社十八社を巡り、その神聖な火を参詣者が貰い受け幾万となって火の海となる、その火を持ち帰り元日の灯明の灯に釜戸の一番火とする。
そう言った地域、近隣に深く根付いた民間信仰というのが、私の身近な三輪神社の記憶である。
一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居をくぐり三輪さんを拝する、三輪の明神型鳥も有名である。三輪鳥居(三つ鳥居)は重文であり、拝殿(重文)は徳川四代将軍家綱が再建したものである。
明治の官幣大社になるまでは「大神大物主神社」と呼ばれていた。
「記紀」を調べ、神代を推測するときに「天孫降臨」の天孫の発祥の地である大和に地祇の国造りの神“大物主大神””大己貴神“が大和の国一ノ宮の祭神なのかである。
祭神は「大物主大神、大巳貴命」であるが、本殿はない拝殿が向こう側に、背にした三輪山(四百六十七メートル)が御神体である。ここに古代から歴史に秘められた深い意味と謎がある。「日本書紀」に依れば大物主神の国造りの中にこう書かれている。
大物主神はこの国を造ったのは自分だけだと思っていたが、神々しい海を照らし、その中から浮かび上がる神が「お前一人でこの国を創れたのではない、私がいればこそ」と言ったのでその名を聞くと「お前の幸魂、奇魂である。大和国の三諸山に住みたい」と御思召し以後、その御魂(幸魂、奇魂)を三輪山に鎮座した。
ところが宮司といえども立ち入る事のできない禁足の三輪山は古代祭祀の跡の盤座(岩倉)が有る、「奥津盤座」に大物主大神、「中津盤座」に大己貴神、「辺津盤座」に少彦名神が祭られている。
国譲りの神の大物主神は出雲国でと違った形で鎮座し、この大和にも「御魂」に国を譲ったのかは謎を呼ぶ、それは「記紀」ある出雲と違う、大和に国譲りの神話か、この近くに「大和神社」「石上神社」と日本最古の神社があって、名神大社の数ある中で、まほろば大和の国の一ノ宮が”国造りの大物主を祭神とする大神神社である。
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